古民家改修工事 -自然と生きる時間 茶令 SARYOU-

場所は静岡県島田市。静かな山奥で、鹿の鳴き声がよく聞こえます。
現在築100年の離れの改修工事です。2019年9月頃には完成予定です。
完成後は一棟貸しの施設として運営になる建物です。
その後に、隣接する築150年の母屋の改修工事を計画しています。

まずは近隣の様子、隣接する改修前の母屋の様子を含めてご紹介します。

近くを走る大井川鉄道のSL機関車

現場に一番近い大井川鉄道の駅 笹間渡(ささまど)駅

一面に広がる茶畑

改修前の母屋の様子
外観

母屋西側 きつつきの開けた穴
食べ物は無いのに一生懸命開けた様です(笑)

母屋玄関の梁組
寒かったので天井を塞いでいますが、天井をはがし、隠れた囲炉裏を復活させる予定です。

母屋仏間板戸
一枚板戸で4.5mの間仕切りをしています。
この板戸が、150年の年月で、とても素敵な具合です。
この18畳の和室では、昔は収穫したお茶の葉っぱを一面に広げて
干していたそうです。

母屋の奥和室

母屋の天井裏
きつつきの開けた穴を中から見たところです。

母屋の天井裏
昔囲炉裏の有ったお部屋の天井裏です。
誰かが長い間住んでいる様子です。
ムササビかタヌキみたいです。

母屋の天井裏
18畳や12畳の和室が数間あるのですが
その和室の天井裏です。
子供が走り廻って遊べるぐらいの広さがあります。
ここも天井を落としてあらわしにする予定です。

母屋の天井裏
12畳の和室の天井裏です。
昔使われていた機織り器がありました。
階段が狭いのに、どうやってここまで上げたのだろうと、
皆で考えてもわかりませんでした。

そして、今回改修しました離れの改修前の外観です。

改修前離れ 1階
倉庫として使われていました。

片づけた後の離れ1階の様子
約100年の歴史はすごいです。
片づけに2ヶ月掛かりました。
けれども、昔の漆器やお膳など、素敵な物も沢山出てきました。

改修前の離れ2階
昔はお茶摘さん、と呼ばれる、お茶の収穫の時季に、
お手伝いに来てくださる方達が20人程泊まられていたお部屋だそうです。
お布団も沢山しまってありました。
硝子はあちこち割れてしまっていました。

改修前の離れ 2階の廊下
ガラスの外建具がとても素敵です。
このまま修復して活かせればと計画中ですが、
耐震性の面では全て今のまま活かすのは不可能なので
検討中です。

この離れの改修工事を、昨年2018年9月より行っています。

歪んでしまった建物自体を、まず真っ直ぐに補整しました。
高さもずれてしまっているので、床面も高さを揃えました。
全て解体せず、建物の土台、柱はそのままに、基礎から修復していきます。
そして、耐震性を確保する為に、土台を補強し繋ぎ直し、桁を入れ直し、柱を増やしました。
筋交も数箇所入れたため、開口部は減り、広間も柱が数本立ちましたが、開放感は確保できるよう
計画しました。

片付けから始まりました。

長い年月の荷物やごみの量が多かったので、片付けだけで週三日の作業が二か月続きました。
必要な物、不要な物、廃棄物の分別、と盛りだくさんの作業が続きました。

 

いよいよ解体作業に入ります。
建物自体が歪んでしまっているため、まずは床の解体です。
荒床を剥がし、根太も解体しました。
後に、この荒床はよじれて床には再利用できなかったため
屋根張替えの際の野地板にも一部使っています。

床の解体が終わり、床下のごみも掃除しながら
柱の高さ調整を行いました。
玉石の基礎はそのままに、モルタルでの高さ調整を行います。
柱で何度も水平を確認し、沈み具合を見ながらの日にちを掛けての調整になりました。
腐食していた北側外壁は解体し、基礎を入れ、土台を組みなおします。
柱の腐食部分は根継ぎを行いました。

土台の補強を行います。
柱の内側、外側に105㎜角を一周廻しました。
建具も外に出し、外の敷居は板金で巻きます。
戸当たりも新しく入れることにより壁の強度を増します。

柱を建物補強のため数本増やし、増やした柱が邪魔にならないよう、
間仕切り壁を極力造らずに、新しく作るカウンターや設備の配置に絡めました。

大引き・根太を入れ、床の高さの調節を行いました。
荒床を張り、床の高剛性を得るために補強金具で床と柱を緊結します。

壁面の筋交いはダブルの筋交いとし、1階で11か所追加しました。
開口部ばかりでしたので、明るさと開放感を損なわないよう、
一部は嵌め殺し窓に変更しました。
梁の補強も行っています。

北側の腐食していた外壁の化粧は羽目板で仕上げました。

1階の霧除けは腐食部分を補修し、霧除け屋根は一周板金で仕上げました。
105㎜角を胴差の位置に帯状に廻し、胴差の梁に緊結しました。

2階屋根は下地から張替えが必要でした。
この野地板には、1階の剥がした荒床を一部使っています。
仕上げは板金です。
矢切は杉板を化粧に使いました。

2階の開口部は壁面の補強と手すりの補強を含め、
小壁を造りました。
下地に構造用合板で筋交いの代わりをします。
鴨居と二階の桁の間にも合板を張り、貫と打ち絡めて筋交いの代わりにしました。
開口部は狭まりましたが、心許なかった壁面の補強はしっかりできました。
既存建具を切り詰め加工し、再利用しました。

開口部の上下の壁の化粧は、既存の雨戸の鏡板を削り直し
羽目板として使いました。

2階の荒床には合板を重ね張りし、水平の剛性を保ちました。
仕上げは畳となります。

二階の外壁も一階と同様に羽目で仕上げました。
非常口も設けました。
写真の突き当りが非常口になります。
逆側の廊下突き当りにはトイレも設けました。
既存の押し入れを一部改修して造りました。

足場も取れて外観は粗方完成です。

あとはデッキを製作し、二階には畳が入ります。
一階は床の仕上げがこれからです。

9月の開所を目指して、あと一歩です。

古い物を守り、安全に使えるよう補修していく事は大変ですが
試行錯誤しながら、この思いを40年間持ち続けています。

途中経過ではありますが
お伝えさせていただきました。
また、完成をご報告させていただきます。

 

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