神明工務店有限
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神明工務店

千年の歴史ある日本の木造住宅から学べる住宅づくり

今回新築工事を請け負うにあたって
「先人から省エネを学べるか」が大きな目標でした。

「開放型住宅」

兼好法師さんは「住宅は夏を旨とすべし」と言ったほど日本の夏は厳しい日差しがあり、冬には雪も積もります。50年ほど前からエアコンに頼る世の中になったとはいえ、学ぶべきことはたくさんあると思います。夏の直射日光を室内に入れない工夫。冬季には日差しをなるべく多く室内に入れる工夫。この相反する仕組みを、同時刻に夏と冬で日差しの角度が異なることを利用して、軒先の長さと大きな窓と天井吹き抜けを作ることにより、極力簡素な仕組みで両立しました。

そして、次に外断熱工法により保温機能を住宅に持たせることで、暑さ寒さや梅雨時に、エアコンに頼る時間をなるべく少なく過ごせるようにしました。それ以外の春と秋は窓を開放して自然の風の中で生活できるように考えました。
基本は開放型住宅です。

「新潟の安田瓦」

屋根は丈夫で長持ちと維持管理のしやすさを考えて瓦葺にしました。瓦は冬季の吸湿凍結や風害、耐震性を考慮し新潟の安田瓦防災仕様にしました。日本海からの強い季節風と雪に耐えてきた実績があり、更に台風被害を想定し1枚1枚の瓦が釘止めされています。
南面に葺かれた瓦は夏の強い日差しにより高温になりますが、瓦と下地の間に空間があり、熱くなるほど上昇気流が発生し、棟に取り付けられた換気口や瓦のすき間から排出され屋根の熱を冷やします。

「外部に自然素材を使う」

屋根は瓦

「土を焼いて作る瓦」
新潟県阿賀野市で180年前から生産されている安田瓦を使いました。
安田瓦はこちら

「丈夫で長持ち」
焼成温度が高く表面が硬くて丈夫な瓦です。日本海特有の強い季節風に負けないで、凍結による割れが少なく、雪下ろしで人間が乗って作業する事を前提に葺かれているためガタツキが少ない。

「部分修理が簡単」
高温で焼かれているため、紫外線による退色も少ないので、将来に破損差し替えをしても屋根全体の風合いが変わらない。

「工夫次第で自然災害に強い」
元々一枚一枚釘止めされていたが、現在では接する瓦と瓦を爪で引っ掛けてより飛散しにくくなり、近年強くなってきた台風対策もされました。重量が重く風に強い反面、耐震性に不利な面もあったが、免震や制震工法を取り入れることにより乗り超えることができます。

「廃棄処分にならない事」
役目を終えると以前は埋めるしかなかった瓦は、吸湿力を利用して路面材として再利用され、ヒートアイランド現象を防いでいます。

「杉材の縦格子」

杉材の特徴

「軽くて丈夫」
平均材木強度の中でも、引張や圧縮強度は 2~4倍(比較対象物により差があります)ぐらいあり、軽さと成長年数を含め合わせると他に類を見ません。

「木目と香り」
何と言ってもきれいで素直な木目や、複雑に育った根っこに出る木目は、昔から建築美として数寄屋建築などに取り込まれ、重宝されてきました。主張し過ぎないほのかな香りは樽酒には欠かせないほど日本人に馴染んでいます。針葉樹の香りには心を落ち着かせる効果があることが研究されています。

「経年劣化を楽しめる」
一般的には木材を外部に使うと塗装して耐久力を高めますが、工夫次第では着色せずに劣化を楽しむことができます。塗装は塗布した時から劣化が始まり、10年目には再塗装が必要になります。対して着色しなくても杉や桧は倍以上耐久します。また、構造的に耐えきれなくなった時、交換しやすくすることが重要です。施工時は個々の色違いと面としての連続性を楽しんでください。人間社会のようにもみえます。3年ぐらい経つと、流木のような明るい灰色になって、その後の変色はほとんどありません(苔が発生することはあります)。

「乾く工夫をすれば20年以上使える」
木材は水分を含むと腐ったり、虫害を引き起こします。濡れてもすぐ乾く方法を工夫すれば被害は激減します。

「役目を終えると土に還る」
最終的には焼却でなくチップなどにして土に戻し、微生物の力を借りて、栄養分になり、また植物に育っていく還元が望ましいです。

「縦格子に使う利点」

「視点角度によって中が見えたり見えなかったり」
格子の間隔により中が見えたり見えなかったりします。日本家屋はそんな空間を好みます。たとえば、外であるような無いような玄関や縁側、広縁、坪庭、盆栽などたくさんあります。「見えそうで見えない」を楽しんでください。

「心地よい自然の風」
この家の基本は開放型です。カーテンが揺れる程度の風が窓から入って来るのが理想です。窓格子は強い風をやわらげ、弱い風を通す役割も果たしています。四季の風をお楽しみください。

「直射日光を和らげる」
格子越しに入ってくる日差しは、暑からず、寒からず快適です。目指すは木漏れ日です。

「間隔を荒くして空の明るさを採り込む」
掃き出し窓につけた格子の上の方は間隔を広くしてあります。これは直射日光の入らない部分から空の明るさを取り入れる工夫の一つです。

「強風による飛散物被害を軽減」
格子には大切な役目があります。防犯と防災です。縦格子は手がかけづらく、侵入しにくいです。外からも中の様子がわかるので、防犯上有効です。強風時には飛散物から建物を守ります。万一ぶつかって破損しても部分修理できます。外部設備は、費用を含めた維持管理が楽な事が重要です。

「夏は涼しく、冬は暖かく」

外壁は耐用年数で勝るモルタル下地に、塗料と砂などを混ぜた左官コテ塗りとしました。外壁の断熱材とモルタルの間には、土台部分から屋根まで30mmの通気層があり、日当たりの良い壁で熱せられた空気が上昇気流となり通り抜け冷やします。

窓は2階南東に全面開口をとり、冬季にのみ日差しをたくさん取り入れ、吹き抜け部分から1階リビングに日差しを入れます。夏季の直射日光は軒先で遮ります。雨戸が無いため落下防止手摺兼、暴風対策兼、夏の日差し対策の縦格子を取り付けました。また、そのガラスとの間を30㎝巾のスノコ床として、網戸やガラス掃除がしやすいようにしました。

ガラスは室内の保温効果を保つため、全てガスを封入した二重ガラスにしました。南面の外側のガラスだけを夏の強い日差しを防ぐために、弱い熱反射(光は通すが熱は通しにくい)機能を付けました。冬は少しでも太陽熱を室内に取り入れたいので、熱反射機能は弱くしました。

2階床の吹き抜け面積を多くしたので、1階床から屋根天井までの高低差(約7m)を利用して重力換気(暖かい空気が上に上がることを利用した換気)が効率よくできるようにした結果、無風状態でも暑い時は換気ができるようになりました。
逆に冬は暖めた空気が上に行ってしまうので天井扇で下に降ろす様にしました(電力は空気を冷やすより回転に変えるほうがはるかに高効率)。

昔の民家は軒先を深くし日を遮り、広縁に反射した光を部屋の奥まで届け明るくし、高い位置に窓(欄間や天窓)をつけて空の明るさを採り込み、外壁は空気をたくさん含んだ土壁が断熱材の役目をして室内外の温度差を遮断し、高い天井は熱気を床に溜めない工夫で暑さをしのいでいました。
古民家からたくさんの事を教えてもらいました。

施主様のコメント

神明工務店さんに伝えたことは「天井が高く明るい平屋に住みたい」でした。
家が完成した時には、外観も内観も驚きでした。本当に天井が高すぎて、広すぎて、感動で震えました。
実際に生活をしてみると、木と人の手による造りのぬくもりを、ひしひしと感じられる、とても温かな家でした。
唯一大変だと感じる事は、この家が好き過ぎて、掃除の手が抜けない事です。

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